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身の上話し

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「あそこは日差しがつよいから
こっちのベンチに移動してきたよ。」

 

そう言いながら、 そのムッシュは
わたしの横に  少し離れて  腰掛けました。



サンジェルマン・デプレ教会の横にある
こじんまりとした公園のベンチで
休憩していたときのことです。

 

確かに、そのムッシュは 先ほどまで
向かい側のベンチに座っていました。

 


この日は真夏のように
じりじりと 肌に差し込むような強い 日差しでしたので
この日陰のベンチへと 避難してきたようです。

  

「フランス語、話せますか?」

 
「少しだけ…。今パリで勉強しているんです。」

 
そう答えると
ムッシュは ほんの少し にこっと として
話しを 始めました。



ムッシュは
やさしそうな目をしていましたが
どことなく さみしそうにもみえました。

 

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ムッシュは  フランスの南の
ちいさな村で生まれたそうです。



大学でエレクトロニクスの勉強をしていて、
卒業してからは ずっと 地元の研究所で働いていましたが
2年前にパリに移り、今は別の研究所に勤めています。

 

妹さんがひとりいて
今 ロンドンで アクセサリーデザイナーとして働いているのだそう。

  

「パリでの生活は簡単じゃないよ…。」

  

「それでは、  あなたは
パリでの生活は 満足していないのですか?」

 

「そんなことはないけれど、
いつ 仕事がなくなるか わからないし、心配なことが多いから。」

  

ため息まじりに話すムッシュに
わたしは
「そうですか…。」
と簡単に答えました。

  

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「 実は 
わたしには ベルギーに恋人がいました。」

 

ムッシュは 突然  言いました。



「まぁ!それは 素敵ですね。
では、いずればパリで一緒に過ごすのですね。」

 

「ええ、 彼女とは 遠距離恋愛だけど
一日に何度も電話して
とても仲がよかったんですよ。」

  

恋人がいるという言葉を聞いて、
なんだか うれしく思ったのですが
ムッシュの表情は 曇ったままです。

 

「では、いずれ ご結婚されるのですか?」


 

「そのつもりでした。
結婚について たくさん話しあってきました。

 
でも、わたしは見てしまいました。

 

パリの メトロのホームで
彼女がほかの 男性と
手をつないで歩いているところを。」

 


「まぁ、なんですって!」


ベルギーに住んでいるはずの彼女が
パリにいたというのです。
しかも 知らない男性と一緒に。

 


「彼女 と目が合ったとき、
彼女の 顔色がさーっと
真っ白に変わっていくのがわかりました。



彼女のことは 好きだったけれど
でも、わたしは 手をつないでいるところを見ました。
信じられませんでした。
だから、決意したのです、別れることを…。


彼女はおかしいと、あなたも思いませんか?」



「そうですよね…。」

 

「その日からわたしは 連絡を取るのをやめました。」

 

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2ヶ月前の出来事だそうです。

 

「きっと Destin ディスタン(運命)なのです。
仕方ありません。」

ムッシュは弱々しく 言いました。

  

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なんと 答えればいいのでしょう。
でも、やっぱり
希望をもってほしいとおもったので

 

「近い 未来に 素敵な女性と
出会えることを願っていますね。」

 

と、伝えました。
明日 何が起こるかなんて
今日の 自分には わからないものです。

 

(とは、フランス語で 言えませんでしたが…^^;)

   

「どうかな…。」


ムッシュは 悲しそうに 微笑みました。

 


それから  時計を見ると
この後の 約束の時間まで
20分を切っていました。

   

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「そろそろ、行かなければなりません。
約束がありますので。」

 

と伝えると、ムッシュは



「そうですか、約束があるのですね。
どうぞ、行ってください。
わたしは 買い物をしてから帰りますから。」

 

それから、さようならをして
その場を離れました。

 

パリでは こんな風に
知らない人の話しを聞くことって
日常なのでしょうか…?

 

東京では あまりないですよね?

  


なぜだか
知らないうちに こんな風に
お話しをしていました。

 

 

メトロに乗って
待ち合わせの駅まで行く間
アメリの映画の中に出てくるような
アコーディオンの音楽が 頭の中で流れました。

 

  

昨日の出来事です。




なんだか
いつもと 違うテイストになってしまいましたが
わたしにとって
ちょっと不思議なことだったので
ブログに綴ってみようとおもいました。

 

読んでいただいて ありがとうございます^^

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コメント

公園で身の上話を聞くなんてめずらしいですね・・。この男性、早く前向きになれる日が来てほしいです!!そして、ぶうやんに話を聞いてもらえたことは彼にとって救いになっているといいですね。本当に人と人の出会いは突然で、偶然で、素敵なものです☆

ぶうやんの文章、いつも上手だなあと思っています。
パリの情景や雰囲気まで伝わってきますよ~。
そして、アメリのアコーディオン♪パリの街にぴったりですね!

投稿: ほしのすな | 2010年6月28日 (月曜日) 12時20分

タイトルにビックリしてやってきたら、
おお、ムッシュの身の上話だったとは・・・。

なんだか2人の様子が目に浮かぶよー。
映画みたいだね。

またベンチに座っていたら、会えるかもね。
その時はまた話を聞いてあげて、ぶうやんちゃんの笑顔で癒してあげてね。

投稿: めかぶ | 2010年6月28日 (月曜日) 12時50分

いや~オレはそれ
ナンパの古典的な手口だと思うけど。。( ̄▽ ̄)

旅の空、気をつけてくださいよ。catface

投稿: Blenda・Boss | 2010年6月29日 (火曜日) 01時10分


情景が目に浮かびます。
私がNYにいたときも、身の上話をされた人がいましたよ。

銀行でお金をおろそうと列で待っていると、前に並んでいた方が、これこれこういういきさつで 今からお金が必要なんだって突然おっしゃって、びっくりしました。

パリでのお話みたいに、ドラマティックではないですが(笑)

うん。
今度また偶然にとなりに座ったら、Le petit bonheurさんのおおらかな雰囲気で癒やしてあげて下さいねshineshineshine

投稿: meggy | 2010年6月29日 (火曜日) 02時59分

ほしのすなさんへ☆

こんにちは!!!
お久しぶりだねー。
コメントどうもありがとう♪

ムッシュ、本当に 全身からがっくりオーラが出ていて。
ちいさなシアワセを見つけてくれて、今度は笑顔のときに
偶然に 会えたら いいなーとおもいますよー。

文章を褒めてもらえるとはー
きゃー、どうもありがとう。
ついつい まわりくどい 文章になってしまいがちなので
いつも気をつけなきゃっておもっているのよ。
かなり励みになったよ、ありがと。

投稿: Le petit bonheur | 2010年6月29日 (火曜日) 17時31分

めかぶさんへ☆

こんにちは!
コメントどうもありがとうございますー♪

タイトル、びっくりしました?
ムッシュの突然の打ち明け話し…
初対面の 見知らぬ異国人へ恋ばななんて
ちょっと衝撃的だったので書いてみました。

またあの公園で会うことがあるとしたら
そのときは 笑顔でいてくれたらいいなー。

投稿: Le petit bonheur | 2010年6月29日 (火曜日) 17時35分

BOSSさんへ☆

こんにちは!
ご無沙汰していますね。
コメントありがとうございます。

これって、ナンパの手口なのですか!?
だとしたら、かなりの役者さんですね。
全身からがっくりオーラが出ていましたし…。
でも、あまり いやな感じはしませんでしたよ。
ナンパをする人って、その人から出る 光線?のようなものを
なんとなく感じて わかるものです。
こんなことを言っているわたしって、やっぱり
危ないのでしょうかー。
なにはともあれ、気をつけようとおもいます。
ご忠告ありがとうございます♪


投稿: Le petit bonheur | 2010年6月29日 (火曜日) 17時41分

meggyちゃんへ☆

こんにちは!
コメントどうもありがとう♪

何がきっかけで恋話になったのか…?
ブログには書ききれなかったエピソードがもうひとつあって
もしかしたら、それがきっかけで 飛びだしたのかもしれない。
でも、見知らぬ外人に 恋話まで…。
恋多き国なのかなーフランスは。
もしまた偶然出会ったら 笑顔でいてほしいものですーconfident

meggyちゃんも 別タイプの打ち明け話し、あったんだねhappy01
欧米には、オープンな人が多いのかな~flair

今 展示会の真っ最中かな?
がんばってねーshine

投稿: Le petit bonheur | 2010年6月29日 (火曜日) 17時52分

パリの空の下、とても短かったけれど、
またひとつの出会いがあったんだね。
知らない誰かに話を聞いてもらうのって、すごいセラピーだと思う。
きっと知ってる誰かじゃないのが良いのでは。
その男性がナンパ目的だったかは分からないけど、初めからあまりにも警戒するのもつまらないよね。
ナンパであれば途中から必ずおかしくなるから、
その時点で警戒すれば良いだけの話。
きっとその男性は、胸の中の重いものを
分かち合ってほしかったんだね。
状況は変わらないけれど、少しだけ重荷を捨てられたはず。
彼にはぶうやんが天使に見えたと思うわ☆

投稿: jyakurin | 2010年7月 1日 (木曜日) 10時30分

jakurinさんへ☆

こんばんは!
コメントどうもありがとう!

帰国まであと少し…
最近はセンチメンタルな気持ちを抱えながら
毎日過ごしてるよ…。
時が過ぎるのが本当に早いんだもの。
そんな気持ちでいるから同じような波長を引き寄せたのかしら?
ムッシュとは本当に一期一会。
もちろんはじめは警戒はしていたんだけど
危険な雰囲気はなかったし、
ムッシュがおっしゃったあるフレーズから、
やさしい人なんだなっていうのがわかったので
お話ししてみたのよ☆
とはいうものの、自分が危なっかしいことは
重々承知なので 気をつけなければいけないのだけど、
出会いを狭めるのは やっぱり つまらない…。
ありがとう。そういってくれて。
きゃー、わたしが天使に見えたって
ほんとにそうだったらすごいなー。
わたしにとっても よい時間になったのでムッシュに感謝だよ☆


投稿: Le petit bonheur | 2010年7月 3日 (土曜日) 08時13分

物語読んでるみたいに読んじゃったわ!!
フランスにいると、なーーーんかドラマが生まれちゃうのよね。
不思議だよね。

あともう少し。たっぷりフランスを吸収してきてね☆

投稿: neko_ebi | 2010年7月 4日 (日曜日) 09時47分

neko_ebiさんへ☆

ぼんじゅー!
コメントどうもありがとうです!

フランスって、たまにずるい!って
本気でおもっちゃうくらい かっこいい人がいるよね。
昨日、メトロに乗ってたら、ドキドキするくらい
雰囲気のある人がいて目が離せなかった…。
日常の中にドラマがあるのが フランスの普通なんだね…。

あと少し、とおもうと なんださみしい…。
まだ帰りたくないよーって ジタバタしてる自分がいる(笑)。
うん、でも たくさん 吸収して帰れたらいいな。
ありがとうー。

投稿: Le petit bonheur | 2010年7月 5日 (月曜日) 07時03分

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